2005年07月24日

三瓶明雄・太田空真著『三瓶明雄の知恵

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 巨人に松井がいなくなって、野球が面白くなくなった。そのためプロ野球を見なくなった。そのため日曜日に「鉄腕!DASH!」に変わって、プロ野球があるとがっかりしてしまう。それくらいこの番組が気に入っている。
 そのDASH村の農業指導者である三瓶明雄さんを、太田空真さんがインタビューして出来た本がこの『三瓶明雄の知恵』(日テレ)である。
 何でDASH村が自分でもいいのか考えてみると、一昔前まであった当たり前の生活の知恵や、食べ物、農耕具、家造りなどが、今テレビで見るとものすごく新鮮で感心してしまうのだ。造りなどはものすごく素朴で単純なのだけど、その分機能的なのだ。それがホント一昔前まであったものなのに、いつのまにか姿を消しているのが、ある意味不思議と言えば不思議なくらいだ。
 この本を読んでいると明雄さん(テレビでそう言われているので、ここでもそう言いたい)が東北の開拓民の子供として生まれ、育ってきたことを知るが、明雄さんの言葉にはその苦労は微塵も出てこない。明雄さんは言う。「自分の言葉に、多くの人が興味を持ってくれることはうれしいことだ。だけど、別に特別なことをしているわけではないんだ。自分が知っている田舎の知恵は、田舎で暮らしている人なら、誰でも知っていることなんだ」と。
 そうなのだ。その当たり前の知恵を感動して見ているのが、我々なのだ。それは「当たり前のこと」を我々は失ってしまったことを意味するんじゃないだろうか。だから驚きを持って見てしまうのだ。
 そしてテレビで見る「当たり前のこと」はその生活の苦労から生まれたものだと知るべきだろう。苦労したからこそ、生まれてきた、いわば生きるための「知恵」なのではなかろうかと思う。私達は明雄さんの人柄でその奥に隠されている苦労を見ないで済んでいるけど、「生活の知恵」ってそんななまやさしいもんじゃないはずだ。そのことを前提にしてこの本を読むべきだろう。
 その上で改めて明雄さんの言葉は意味を持ってくると思う。明雄さんに農業のこつを聞くと、

 「地元のプロの意見を聞くことで初めて、地域にあった農業が身につくようになるんだよ。
 これはね、家庭菜園でも同じだ。地元の農協やタネ屋さんで、地域にあった作物の育て方聞いて実体験してみる。その繰り返しを何度もすることで、美味しい作物が収穫できるようになるんだ。
 野菜づくりが失敗したら、町のスーパーに行って野菜を買えばすむことだしな。
 来年になれば、いやでも春がやって来る。そのとき、今年の失敗を生かして知恵を働かせて、美味しい野菜をつくればいいんだよ。
 一年間、農業を経験すれば、畑のことはよくわかってくる。
 最初の年に失敗をしても、次の年にもっとがんばって美味しい野菜をつくればいい。失敗を元手に、工夫しながら畑を耕す。これが、楽しく農業をするコツだと思うよ」

 自分たちはそうじゃなかったけど、今は楽しむ農業をするなら、こうすればいいと言えるあたりは、明雄さんの人柄うかがえる。時代が違うことをきちんと知っているのだ。だから失敗したらスーパーで買えばいいなんて言えるのだ。
 そのことは、自家製の味噌を作る時に必要なコウジを手に入れるのにはどうすればいいかを聞いた時に、近所のコウジ屋さんから、タネ・コウジを買えるし、なければインターネットの通販で買うことができると言わせるのだ。明雄さんからインターネットという言葉が出たこと自体が驚きだ。こういう人はいいなぁと思う。やたら「今の若い奴らは・・・」と言って、苦言を呈する年寄りよりは、明雄さんみたいな人達の意見の方が聞けるもんだ。

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