2005年07月27日

村上春樹著『アフターダーク』

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 この『アフターダーク』(講談社刊)は村上ワールドというべき、不思議な世界をがそこには展開している。私達は本を読む時は、そこで展開されている世界を読むことで垣間見ているわけだけど、この本ははじめからその世界を垣間見るもの、人?がいて、私達は更にその上から覗いているのである。
 その世界は真夜中から朝にかけて、マリ世界と姉のエリの世界が進んでいく。 物語は、マリの話はテンポよく進んでいくが、エリはもう二ヶ月以上も眠ったまま。最小限の生理的な欲求は目覚めて行っているようだが、家族がエリの部屋を覗くといつも寝ている姿しか見えない。
 エリの部屋を覗くものがいて、部屋にはコンセントが抜かれたテレビがあるが、画像が写っている。覗いていたものがちょっと視線をそらしたら、エリはテレビの画像の中にいて何かもがいている。そして朝方には又部屋のベッドに戻り寝ている。不思議な世界の展開。意識しない世界でもしかしたら、こんなことを繰り返されているかもしれないというちょっとした恐れを感じさせる。現実と異次元あるいは、現実と夢の世界、その隔たりがはっきりしない世界が真夜中にあるのかもしれないと思わせる不思議な感覚。

 一方現実に起きているマリは真夜中ファミレスで分厚い本を一人で読んでいた。そこに知り合いの高橋という人間に声をかけられる。そこから予想もしなかったことに話が展開していく。人が寝静まった世界でしか暮らせない人達、マリにとってみれば非現実的な世界で暮らす人々との関わり合いが描かれている。
 真夜中とは1日の澱がたまった状態で、身動きできなくなっている時であって、現実と非現実的の壁が不明確になっている。あちらの世界が見えて、非現実が現実化してしまう時間帯なのかもしれない。
 ここではマリを目が覚めている世界に置いて、一方姉のエリを寝ている世界に置くことで、違う世界に生きていると思わせるが、しかし現実に起きていようが寝ていようが、これから起こりうることは誰にも確実に予想できないし、いっけん姉のエリとは全く違う世界を生きているとマリは感じていたが、マリとエリは姉妹であることには変わりがないことを気づかせていく。朝日が昇る時、昨日の澱がリセットされるように。

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