2005年08月16日
飯島夏樹著『天国で君に逢えたら』
実は以前テレビで飯島さん家族のドキュメントを見ていた。それはガンに冒されたプロウィンドサーファーの飯島さんと飯島さんを支える明るい奥さんや子供達、更に友人との交友を描いていて、少々感動していたのだ。
その飯島さんが書いた『天国で君に逢えたら』(新潮社刊)を読んでみた。実はこの本が飯島さんの書いた小説だとは思わず、先のテレビのドキュメントの元になったエッセイだと思っていたのである。
国立がんセンター中央病院に勤務する新米の精神科医、野々上純一が上司の原田部長よりガン患者が自分のガンに対してどのように向き合っているか、それを日本版のキューブラー・ロスような報告書を作れと命令される。
最初は聞き込みなどやるが効果がなく、患者が本当の気持ちを打ち明けてくれない。それで患者が自分の気持ちを素直に語れる場所を作り、患者が誰か自分の気持ちを打ち明けたい人に対して、野々上が患者の気持ちを聞きながら、手紙の代筆をするようになる。患者には何でもいいし、まとまりのない話しでも構わないから、色々話してもらい、ポイントを野々上がつかんで手紙を書いていく。
19階に設営した「手紙屋Heaven」には、オレゴン大学で心理学の博士号を持っていても、60歳くらいという年齢のため、手に入れた日本での仕事が掃除婦しかなかったみずほさんをパートナーとして、さらに小児ガンの愛子ちゃん、膵ガンと宣告された陸サーファーのシュージ(多分著者自身がモデルだろう)らが野々宮の仕事を助ける。
妻のガンは自分の為だと思いこんだ眼科医の英樹、、ガン告知に悩む名外科医の二宮、ガンを理由に職を失った元ヤンキーの板前、清水などが訪れ自分の気持ちを、野々宮に代筆してもらう。それぞれどうしてガンになってしまったのか。それを恨み、悲しむ。又その為家族にも大きな負担をかけてしまい、更に苦しむ心情を語っていく。死を目の前にしてそれぞれ自分に正直に向き合わざるを得ないだけに、様々な後悔が頭の中をよぎっていく。そして「手紙屋Heaven」で自分の心情を吐露した後、諦めの中にも救いを見いだしていく。
シュージの奥さんリサからぶ厚い手紙が届く。そこには、国立がんセンターを出たシュージがハワイに戻り、ボロボロになった身体で妻のリサや子供達にカイトボードを使って、海で大きく舞う自分の姿を見せ、死んでいったことが書かれていた。
シュージは自分が海で大きく舞った時、明るくやさしい、何とも言えないオレンジ色の光に包まれたと感じ、その光が自分を天国に導いてくれる。そう思ったとき死が怖くなくなった。その天国へ行けば又リサや子供達に逢えると感じた。
そして最後に野々宮に代筆してもらった、生前リサを裏切った行為をしたことを謝る手紙にふれ、リサに許しを請いながら死んでいく。
うう~ん。この人本当にウィンドサーファーだったのかと思ってしまった。爽やかな感じを与える文章で、「死」を語っていくやり方は、今まで読んだことがなかっただけにちょっと感動してしまった。後の著書も読んでみたいと思った。
- by kmoto
- at 20:33
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