2006年06月06日

恩田陸著『夜のピクニック』

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 今年の本屋大賞1位の『東京タワー』を読んだので、昨年の本屋大賞1位の『夜のピクニック』(新潮社刊)を読んでみた。これで『博士の愛した数式』を併せて、本屋大賞1位の本を全部読んだことになる。
 やっぱり以前本屋さんにいたのだから、本屋さんが選んだ本はどんな本なのか読んでおくべきであろうと思った次第だ。
 しかしダメだった。どうもこういう青春小説は受けつけない。青春小説は読めないわけじゃないけど、コバルト文庫的な淡い感じは、もうすぐ50のなろうとする人間にとってみれば、ちょっと勘弁してくれといった感じである。

 「日常生活は、意外にも細々したスケジュールに区切られていて、雑念が入らないようになっている。チャイムが鳴り、移動する。バスに乗り、降りる。歯を磨く。食事をする。どれも慣れてしまえば、深く考えることなく反射的にできる。 むしろ、長時間連続して思考続ける機会を、意識的に排除するようになっているのだろう。そうでないと、己の生活に疑問を感じてしまうし、いったん疑問を感じたら人は前に進めない。だから、時間を細切れにして、さまざまな儀式を詰め込んでおくのだ。そうすれば、常に意識は小刻みに切り替えられて、無駄な思考が入り込む隙間がなくなる」
 しかし朝の8時から翌朝8時までの80キロを夜通しひたすら歩き続ける学校行事「歩行祭」は、普段生活の忙しさの中で考えられないことなど、歩きながら友人と話しながら考えられる。しかも後半は疲れもかなり伴い、非日常の状態が作り出される。
 西脇融と甲田貴子は異母きょうだいであった。貴子は融の父と貴子の母との不倫関係から生まれた子供であった。しかも同じ歳であり、同じ高校に入学し、高校三年になって初めて同じクラスになった。
 融は貴子を父の不倫の子として見ていたし、貴子の引け目のない明るさに憎しみさえ覚えていた。
 一方貴子は融ときょうだいとして接したいと考えていたが、融のかたくな態度に距離を置いていた。学校では二人がきょうだいであることを隠し続けた。
 そんな関係を改善したいと、この「歩行祭」に貴子はかけていた。融の親友戸田忍、貴子の友人遊佐美和子、榊杏奈の弟、その他融の友人や貴子の友人の力を借りて二人の関係を改善することになる。
 80キロも歩くわけだから、肉体にはかなりの疲労が蓄積するだろうし、一方精神はハイになっていく部分があるだろうから、普段の高校生活とは違った状況が生まれるはずだ。そんなこともあって、二人の関係が改善して一緒に歩き始めた頃には、この「歩行祭」が難しく、凄いことだと実感してゴールする。

 まぁこんな感じの青春小説である。しかし川上健一さんの書く青春小説は恥ずかしくなく読めたのだが、どういうわけかこの本は読んでいて恥ずかくなってしまった。
 「高校最後なのだから、気の合う奴とあるきたいな」とか「そういうのって、淋しいよ。自分の一番の親友だと思っている子が、一番の悩みを打ち明けてくれないなんて」というセリフを読むと、こそばゆくなってしまう。やっぱりおじさんには向かない本であった。

評価
★★

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