2006年09月29日

大沢在昌著『狼花』

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 5年半ぶりの新作(光文社刊)である。そのため主人公の鮫島はともかくとして、登場人物を忘れてしまっている。たとえば鮫島恋人でロックグループの「フーズ・ハニー」のヴォーカル昌がいたことさえ忘れていた。ただ今回は携帯電話でしか登場していない。それはそれでいいのではないかと思っちゃう。男がハードボイルド的に行動しているのに、一方で女とちゃらちゃらしちゃまずいだろう。
 さて、このシリーズの5巻目『炎蛹』の登場した仙田勝が、今回再登場する。仙田は「泥棒市場」といわれる、外国人窃盗団がかっぱらってきた盗品をさばくマーケットを中国人女性の明蘭と作り上げていた。
 そのマーケットを広域暴力団の「稜和会」は乗っ取りを狙っていた。
 一方多発する外国人犯罪に手を焼いていた警察は、彼らを取り締まるためにその「泥棒市場」を「稜和会」が乗っ取ることを望んでいた。というのも、「稜和会」が「泥棒市場」を把握すれば、警察は「稜和会」を押さえることで、外国人犯罪者を一挙に把握できるからである。その方針で鮫島の同期であるキャリアの香田はは「稜和会」に近づき、「稜和会」と手を結ぼうとする。香田にしてみれば、外国人犯罪者を毒を以て制そうとしたわけである。
 そんな中、ハシッシュの運び屋であったナイジェリア人が仲間に新宿で殺され、持っていたハシッシュを奪って逃げた。鮫島はその捜査にあたったが、そのうち、仙田のマーケットの存在を知り、それを「稜和会」が狙っていることをかぎつける。しかもそれを影で助けようとする同期の香田の存在も知る。
 こうして鮫島は仙田と「稜和会」、そして「稜和会」と手を結ぼうとする香田と対立しつつ、一気にクライマックスへ突入していく。

 もうこれ以上書いてしまうと、完全にネタばれになってしまうので、ここまでにしておく。話はテンポよく展開していき、最後までだれないで、充分楽しめた。
 私は単純なので、こうして鮫島が「稜和会」と格闘している場面になると、「やったれ!やったれ!」と、まるでやくざか警察がやくざに対する時に使う言葉で応援してしまった。(まったく我ながら呆れる)こういうハードボイルドは単純に楽しめるので、気分転換にはもってこいだ。しかも思い入れが激しいので余計だ。


評価
★★★★

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