2006年11月22日
小路幸也著『東京バンドワゴン』
気になって買った本の第一弾である。書店員が主人公になった本ということで買ってきた1冊である。しかしこの本(集英社刊)の舞台はとある下町の築70年以上にもなる日本家屋の「東京バンドワゴン」という名の古本屋である。そこで繰り広げられる人情物のドタバタ劇である。読んでいてこれは昔テレビでやっていたホームドラマと同じだなと思った。舞台を古本屋にしただけのことであった。ミステリー仕立てにはなっているが、殺人事件があるわけではなく、ほんわかとしたものとなっている。でもこういうのもありかななんて思った。
私は古本や古本屋を舞台にしたミステリーが好きなのだが、こういうのはだいたいがマニアックな部分が、事件を生むストーリーとなる。しかしこの本では、古本が事件を生むのではなく、人が背負ってきたものが、ちょっとした出来事になり、たまたま「東京バンドワゴン」という古本屋自体がスパイスになって、この古本屋の非日常的出来事を解決してくれるといった感じだ。
人物的には古本屋の親父である堀田勘一とその息子である伝説のロッカー我南人(がなと)がいい味を出している。
この本の最後に「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ」と書かれているところを見ると、そういう意図で書かれたものと推察する。そういえば最近あの頃ような大家族で繰り広げられるドラマというのが少なくなった。(もっともテレビのドラマなんて最近見ないけど・・・)核家族化が進んで、親子三代一緒に暮らすなんて今時流行らないのだろう。だからもしかしたら下町にはそういう雰囲気が残っている可能性が大きいから、そこに舞台を設定したのかもしれない。そしてこういう雰囲気が懐かしく感じられ、それが共感を呼ぶのだろう。不思議なもので、本屋関係者はこういうのが好きで、だから「本の雑誌」の2006年上半期第4位なんてランクインするのだろう。まぁそれもいいけど・・・。個人的にいって悪くない小説ではあったが・・・。
評価
★★
- by kmoto
- at 05:17
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