2007年01月04日
滝田誠一郎著『長靴を履いた開高健』
あけましておめでとうございます。
まずは今年第一発目は滝田誠一郎さんの『長靴を履いた開高健』から始めたい。
この本は小説家開高健ではなく、長靴を履いた釣り師開高健の本に関する評論及び裏話、後日談を書いた本である。
開高さんの釣りに関する本は主に『私の釣魚大全』、『フィッシュ・オン』、『オーパ』、『もっと遠く!』、『もっと広く!』、それとなんだかよく分からなくなってきた『オーパ、オーパ』編の5冊がメインとしてある。
以上が私の所有している開高健さんの釣りに関する本である。『私の釣魚大全』はこの後、『完本私の釣魚大全』として発刊される。また開高健全ノンフィクションの1巻『河は眠らない』はこのシリーズの第1巻として、それまでの釣りに関する著作をまとめたものである。収録作品は『 フィッシュ・オン』と『私の釣魚大全』と重複する。
さて、この『長靴を履いた開高健』に限らず、開高さんの死後、開高さんに関する本が数点出版されている。気がついたものは購入しているが、この本もその中の1冊である。ただ、開高さんの死後開高さんについて書かれた本は、生前開高さんと何らかの交流があった人、たとえば一緒に釣りに行ったとかいった人たちが書いた本なのだが、この本の著者はそうではなく「いち開高ファン」であった。だからある程度距離を置いて、あるいは開高健という「毒」から逃れて、開高健という釣師を眺めている。「小説家・開高健を論じることは無理でも、釣師・開高健ならば自分の取材対象になりうるのではないかとぼんやり考えるようになった」といっているくらいだから、開高健という釣師を取材対象として、他の人たちとはちょっと違った視点で眺めているかもしれない。
なので、時には仲間内では言いにくいことをはっきり言っている。その中で開高さんの釣りに関しての批評は、確かにそうかもしれないと思った。ここでは当時一緒に釣り仲間から貴重な言葉を添えている。
「だけど、開高さん釣りっておおざっぱなんですね。繊細さがない。おおざっぱにルアーをぶん投げて、ただグッグッとリトリープして、それで魚がガツンとくればよしというような釣りだった。いってみれば大名の釣りですよ。いつも釣れる場所で釣っていたからそれでもいいんでしょうけど。
場荒れした川や湖でスレきった魚を相手にしているわれわれ一般ピープルは、小物1匹釣るために仕掛けや釣り方に細心の注意を払い、ありとあらゆる工夫をしている。そういう釣り師からすると開高さんの釣りはおおざっぱですよね」
結局開高さんの釣りは本ではうまい話が自分のところ飛び込んできたように書かれているけれど、どうも違うようだ。開高さんの方から無理を言って、禁漁区で釣りをさせてもらっている。だから魚もスレていないから、大物が釣れる。
あるいは自分の立場を利用して、出版社やウイスキー会社に無理をいって金を出させ、北米から南米へとそれこそ開高隊と称して乗り込んでいく。そこでは有名な日本の作家が来るということで、現地に詳しい人が動員される。それが開高さんが書いた釣りの本の実態なのだろう。
つまり庶民が楽しむ釣りではないのだ。もっともそれだからいいという考えもある。我々庶民ができないおおざっぱな釣りをやって、それを本にして楽しませてくれているのだからという考え方もできるが・・・。私の場合単純に本の写真の美しさ、話のおもしろさを楽しんでいるだけであったが、現実は醜い部分が嫌というくらい、この本の中に隠れていることを知らされた。
評価
★★★
書誌
書名:長靴を履いた開高健
著者:滝田 誠一郎
ISBN:9784093411226 (4093411220)
出版社:小学館 (2006-06-20出版)
版型:271p 19cm(B6)
販売価:1,680円(税込) (本体価:1,600円)
- by kmoto
- at 07:26
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