2007年05月14日

松井秀喜著『不動心』

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 これも以前書いたかもしれないが、私が日本のプロ野球をテレビで見なくなったのは、松井が大リーグに行っちゃってからで、面白みがなくなってしまったからだ。
 その松井が2006年5月11日、レッドソックスのマーク・ロレッタの打球をスライディングキャッチする際、左手首を骨折してしまった。連続試合出場記録1768試合で途切れてた瞬間でもあった。



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 この本はその骨折から125日間、手術、リハビリの間、松井秀喜というメジャーリーガーが何を考え、どうしてきたか、そしてそれを乗り切ってきたものは何かを、自身語ったものである。
 読んでいて感じたことは、松井自身がどんな状況下においても基本がぶれないというところがすごいなぁと思った。
 アクシデントなど自分ではどうにもできないことを思い悩むのではなく、自分自身をコントロールできるところで最大の努力をしていくこと。そしてそうしたアクシデントも「人間万事塞翁が馬」のことわざのように、人にとって何が災いで、何が福かはそのときだけではわからないもので、災い転じて福となすこともできることを切々と訴えている。松井自身、そうして過ごしてきたことを、自分の野球人生を振り返って語っていく。
 たとえば松井といえば甲子園で5打席連続敬遠が有名だが、あのとき、「打ちたい」、「勝負してくれ」と思ったという。結果全国制覇という夢が破れ去ったけれど、あの連続敬遠で松井秀喜は日本中から注目される存在となった。そのおかげで長嶋監督の目にとまり、巨人への入団となったのではないかと思うという。
 また読んでいて、へぇ~と思ったのは、松井は日本のプロ野球では阪神に入団したかったと知った。でも巨人に入団した。しかし何年かして、もう阪神の縦縞のユニフォームを着た自分が想像できなくなったという。逆に巨人に入団し、長嶋監督に鍛えてもらったことに感謝するのである。ドラフトで自分の夢がかなわなかったことを嘆くのではなく、まさしく「人間万事塞翁が馬」で前に進んできたと振り返る。

 ところで、今高野連が特待生を厳しく断罪しているが、おそらく野球での特待生がどうしていけないのか不思議に思っている人が多いんじゃないかと思う。野球がうまく、その才能がある生徒をどうして待遇しちゃいけないのだろうかと思う。野球がうまいだけじゃないだろう。さらに一流選手になるために、相当の努力をしてきているはずだ。野球馬鹿かもしれないけれど、一芸に秀でるためにはたくさんの汗や涙を流してきてそこまでなったはずだ。それに報いるのがなぜ悪いのかよくわからない。そうした能力のある選手をさらに強化してよりよい選手なるならそれでいいじゃないか。何も教科書を手にすることだけが教育じゃあるまい。むしろのほほんと高校生活を送っている奴からから比べれば、もっとシビアだろう。 松井がイチローと対談したときに、イチローが大リーガーで「吐き気を催すことがある」と言っていたという。それほど追い詰められて野球をやっている。松井も「ケタ外れの尊敬や待遇を受ける一方で、それなりのパフォーマンスを見せられなくなったときは、本当に容赦がない。むしろ多大な敬意や待遇を受けていればいるほど期待も大きいわけで、それがダメだったときの反動、結果が出なかったときの扱いはシビアです。これまでヤンキースに4年いただけで、それは痛切に感じます」という。だから結果を出さないとならないし、結果が出れば、尊敬も得るだろうし、莫大な年俸もその証となるものだと思う。高校球児だって同じだろう。結果が出なけりゃ、特待生の待遇だって外されるはずだ。
 少なくとも馬鹿になれない、どうでもいいやつが多い世の中で、一つのことに一所懸命努力していることに、報うことがなぜ悪いのか。できる人に結果を出した分、報うのは当たり前だ。だから松井にしてもイチローにしてもメジャーリーグで一流選手であれるんじゃないかと思う。いつまでも、「みんな同じ」という考え方は、すべてをだめにする。夢がなくなってしまう。(本当はこんなことを書くつもりはなかった。しかしあまりにも馬鹿な高野連の幹部に腹がたったので書いてしまった)


評価
★★★


書誌
書名:不動心
著者:松井 秀喜
ISBN:9784106102011 (4106102013)
出版社:新潮社 (2007-02-20出版)
版型:189p 18cm 新潮新書
販売価:714円(税込) (本体価:680円)

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