2007年05月28日

海堂尊著『螺鈿迷宮』

2007_05_28_01.jpg


 なんだかんだと言って、この著者の新刊を読み続けている。不満はあるのだけれど、どうも気になってしまい、ついつい買って読んでしまう。
 でも今回は面白かった。もしかしたら今まで読んだこの著者の本の中でベストワンかもしれない。(もう1冊買ってあるので、それを読んでからじゃないと何ともいえないところはあるけれど)
 前作2作は東城大学医学部付属病院で起こる事件であったが、こうも大学で不祥事ばかり起こると大学の存続にも関わってきてしまうからか、或いは大学病院という限定されたところで起こる事件ばかりじゃ限界があるのか、今回は東城大学医学部付属病院から離れたところで話が進む。とはいっても完全に関係ない訳ではなく、東城大学医学部付属病院のサテライト病院である碧翠院桜宮病院にあの白鳥が挑む。
 ということで今回はあの愚痴外来の田口先生はほとんど出てこない。(2回ほどちょいと顔見せ程度あるが)その代わり東城大学の医学生天馬大吉が田口先生と重なる感じだ。天馬は医学部のリタイアを考えており、徹夜麻雀に明け暮れ、留年を繰り返していた。天馬は「時風新報」という弱小新聞社の支局で働いていた。そこには上司として幼なじみの葉子がいた。
 その「時風新報」に厚生労働省から桜宮病院の取材依頼がある。桜宮病院は、老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化した複合型病院で、終末期医療の先端施設であったが、あまりにも死に関して意直線であったため、その経営には黒い噂が絶えなかったからだ。
 葉子は天馬が医学生であることから桜宮病院に看護ボランティアとして潜入し、取材を命令する。天馬は最初はそれを断っていたが、天馬は以前取材で世話になっていた病院買収関連のやくざの結城に麻雀で負け、借金の形にその取材をやらざるを得なくなる。結城は舎弟の立花善次が桜宮病院で行方不明になっているので探してほしいと依頼してきたのだ。

 天馬は桜宮病院に潜入するが、そこのドジな看護師の姫宮のおかげで骨折をしてしまい、しかもやけどまで負わされ、この桜宮病院に入院することとなる。そして皮膚科の医師として東城大学からあの白鳥が派遣され、天馬と白鳥、姫宮(白鳥の部下で先に桜宮病院に看護師として潜入していた)が桜宮病院の内情を探る。
 この病院はもともと軍の施設として建てられため、その異様さと次々と危篤状態に陥る患者たちが運ばれる螺鈿で飾られた病室が恐ろしさを増長していく。なぜここの患者は短期間の間に次々と死んでいくのか?立花善次はどこにいるのか?殺されたとすればなぜか?立花と桜宮病院との関係は?さらに立花は天馬とも深い関わりがあったことがわかってくる。
 今回は謎解きと恐ろしさがうまく話として構成されていたと思う。


評価
★★★


書誌
書名:螺鈿迷宮
著者:海堂 尊
ISBN:9784048737395 (4048737392)
出版社:角川書店 (2006-11-30出版)
版型:389p 19cm(B6)
販売価:1,680円(税込) (本体価:1,600円)

trackbacks

trackbackURL:

comments

comment form

(どんなことがあっても、本が好き にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

comment form