2007年06月29日

「サライ」2005年11号(小学館)

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 このサライという雑誌はいい雑誌だと思っていた。いわゆる趣味の雑誌、大人の雑誌といった感じで、昔から気になっていた。内容も特集によってがらりとイメージが変わる。

 最近喫茶店らしい喫茶店がなくなってきて、コーヒーを飲みながら備え付けの新聞や雑誌が読めなくなってきているが、たまたま入った昔ながらの喫茶店らしい喫茶店入ったら、置いてある雑誌にサライのバックナンバーがかなりの冊数で置いてある。私はコーヒーを注文するよりも先に、この雑誌を取りに行ってしまったことがある。
 もうおわかりかと思うけど、この店はどうやらここのマスター個人でやっておられる店のようで、内装もちょっと凝っていたりする。もちろんコーヒーはサイフォンで入れてくれる。
 そういえば今私が通っている病院の待合室にもサライが最新刊と数冊のバックナンバーが置いてあって、月に1回行くと、待っている間、この雑誌を読ませてもらっている。院長は頑固で、口うるさいのだが、さもサライを待合室に置くような人でもあるので、結構ダンディな感じの先生だ。

 さて、そのサライが時々作家の特集を組むことがあり、今回夏目漱石の特集号を読んでみた。特集は三部構成なっており、第一部が「2500通の手紙から読み解く自画像」、第二部が「吾輩は、団子と落語と体操を愛す」、第三部が「名作を巡る旅・・・松山、熊本、修善寺ほか」となっている。
 内容は大したことはないのだが、この手の雑誌のいいところは漱石にまつわる写真が数多く掲載されていることである。本文よりどちらかといえばこちらの方が気になるくらいだ。
 第一部で漱石が書いた手紙をいくつか紹介しているが、その多さは全集の書簡集の厚さを見ると、思わず納得してしまう。当時は通信手段として手紙が重宝されていたからだろうが、よくこれだけ書けるもんだと感心しちゃう。でもこうして手紙を読んでいると、漱石の自画像というのが、手紙が私的な性格を有しているだけに見えてきそうな感じがする。
 今のような携帯やパソコンのメールは、後々残るものだろうかとふと思った。今の作家の全集など後々出版されたときは、こうした書簡集なんてきっとないんじゃなかろうかと思っちゃう。
 第二部は漱石の愛した料理や菓子など、今も続いているお店とともに写真で掲載してくれている。さすが明治から続いている老舗だから、お店の雰囲気も落ち着いた感じに見受けられるし、料理や菓子もシンプルだけれど、おいしそうと思わず食べてみたいと思った。漱石は下戸で甘党だったというから、こうしたおいしそうな料理や今風にいえばスイーツが好みだったようだ。そういえば漱石は胃弱で、晩年は胃潰瘍で吐血しているが、こんなものを食べていて本当に胃弱だったのかい?と言いたくなった。
 第三部は漱石の作品を巡る旅と称して、漱石の『坊っちやん』『草枕』『倫敦塔』『三四郎』などから舞台となった松山や熊本、ロンドン、東大の三四郎池あたりを紹介している。
 とにかく今回は漱石にまつわる写真を楽しませてもらった感じだ。

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