2007年08月15日

菊池良生著『神聖ローマ帝国』

2007_08_15_01.jpg


 かねがね不思議に思っていたのだけれど、どうして神聖ローマ帝国はドイツだったのだろうか。少なくともローマ帝国を名乗る以上、何らか古代ローマ帝国との関連があっていいはずだが、どう考えても古代ローマ帝国とは性質が異なるように思える。
 この本の最後の方で「神聖ローマ帝国はかつての世界帝国であるローマ帝国の衣鉢を継ぐという建前にたっていた」なら、その衣鉢とは何なのだろうか。たとえば世界帝国と称すに値する領土的広さがあればいいのだろうか。あるいはローマ的理念が継承されたことを意味するのだろうか。いずれも何か違うような気がする。
 西ローマ帝国が滅んだ後、ローマ教会はそのパトロンとして強大な権力を持つ王権を必要とした。だからカール大帝を戴冠し、教会主導の元で西ローマ帝国を再興させた。当時の状況を考えれば、このことはある程度納得できる。カールも教会にだまされたとさえ思っていたという。
 しかしオットー大帝から始まる神聖ローマ帝国はどうなのだろうか。少なくともこの本を読むまでもなく、ドイツは領邦国家として、個々にバラバラの状態であって、国家としてのまとまりを欠いていた。とてもじゃないが、ローマ帝国やローマ皇帝を名乗れるものじゃなかったはずだ。
 古代ローマがヨーロッパの人々にとってアイデンティティであるからという心性で、ローマ帝国の再興の必要性を語られちゃうと、我々日本人にはよく分からない。そうなんだとしか言いようがなくなってくる。だから神聖ローマ帝国として国家の実体がなくても、ローマ帝国やローマ皇帝を名乗ればそれでいいということなのだろうか。
 さて、この本は神聖ローマ帝国の皇帝を順次ピックアップしていきながら、神聖ローマ帝国とは何だったんだろうかという問いの答えを探っていく。ただ登場人物が非常に多くて、しかも関係が複雑に絡み合っているので、読んでいるうちに何が何だか分からなくなってしまった。とてもじゃないが流し読みで理解できる本ではなかった。これはきちんと紙に書いて関係を整理して読んでいかないとよく理解ができない。じっくり読む必要性がある。時間があったら再度トライしたいところである。


評価
★★(再度評価の必要あり)


書誌
書名:神聖ローマ帝国
著者:菊池 良生
ISBN:9784061496736 (4061496735)
出版社:講談社 (2003-07-20出版) 講談社現代新書
版型:262p 18cm
販売価:777円(税込) (本体価:740円)

trackbacks

trackbackURL:

comments

comment form

(どんなことがあっても、本が好き にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

comment form