2007年12月12日

万引き

 毎月一回、書店組合から「TKYO書店人月報」がFAXで届く。普段ほとんど気にもしないのだが、今回ふと目にとまった記事があった。そこには「コミック本101冊万引き容疑」とある。書店もクリスマス、正月と忙しくなるから、万引きにご注意!という配慮からこの記事を掲載したのだろう。しかしそれにしても101冊とはすさまじい。いったいどういうことなのかよく読んでみると、被害にあった書店は私が住んでいる江戸川区の書店だと書いてある。そこを読んで俄然興味がわいた。だって101冊も万引きされたなんて、何と間抜けな本屋なんだと思っても当然でしょ。で、例のごとくネットで詳しく調べてみた。

 逮捕されたのは東京都江戸川区東小松川1丁目、米畑陽一容疑者(23)。小松川署の調べでは、2007年11月3日午後4時20分~40分ごろ、東京都江戸川区中央2丁目の「TSUTAYA江戸川中央店」でコミック計101冊(販売価格計約6万円)を万引きした疑い。作品ごとに買い取り価格を記した表を古本店で事前に入手したうえ、TSUTAYAの本売り場で約30分間、高く売れる本を下見して、店員や客がいなくなったすきに、縦約50センチ、横約40センチの袋いっぱいに本を詰めて持ち出し、駐車場に積み上げると再び入店し、また万引きした。調べに対し「借金返済に困っていた。高く買い取ってもらえるシリーズ本を狙った」と話しているという。盗んだコミックは「名探偵コナン」や「花より男子」などだった。これで101冊で6万円になるのかという素朴な疑問がわくが、まぁ他の本も盗んだのだろう。
 まんまと盗まれた本屋も間抜けだけど、実はこの犯人も間抜けであった。この犯人せっせと本を運び、古書店に売るために駐車場で本のビニールカバーを破いていた。それを近くの自動車販売店の店員が見ていて、「何だか本を大量に持ってきて外でゴソゴソやっている男がいる」と警察に通報され、御用となった。
 実は「TSUTAYA江戸川中央店」を知っている。というよりうちの息子はよくここでCDやDVDを借りている。私も一度ここに行ったことがある。だから何となく店のレイアウトも思い浮かぶし、駐車場の状況もわかる。だからあそこの駐車場でコミックに巻き付けてあるビニールを破っていたんだなと想像がつく。

 ブックオフに行くと、棚にある本にボウズ(売り上げスリップ)がそのままはさまった本をよく見かける。通常ブックオフにある本は一般読者が、書店で本を買い、それを売る。だからそこで売られる本には絶対に売り上げスリップがはさまっていない。(たまに本屋が忘れたり、売り上げスリップがちゃんとはさまっていなかったことで、スリップがなくなったものとして、売ってしまうことがある)それがちゃんとはさまったままブックオフの棚にあるということは、明らかに盗品を買い取って、売っていることになる。
 実際近所にブックオフが出来ると、万引きが増えるといって、組合で問題になったこともある。佐野眞一さん本にも、紀伊国屋の社長がこのことに触れていたはずだ。買い取ってくれ、すぐ現金化できるブックオフは万引きにとってとてもいい場所だろう。

 実は私は万引きに間違えられたこともあるし、万引きを捕まえたこともある。万引きに間違えられたのは、まだ私が本屋でアルバイトして間もない頃であった。自分が注文した本がまとめて入荷したので、それを店の紙袋に入れて持ち帰った。途中、買い忘れた本があったので、当時錦糸町の駅ビルにあった本屋さんに立ち寄った。別に店の中をうろうろしたつもりはなかったのだけれど、目的の本を買ってから、階段の踊り場に出たとき、警備員に呼び止められた。私が店の本を万引きしたと思ったのだろう。紙袋の中にある本を見せろというのだ。運が悪いことに、そこにあった本には売り上げスリップがついたままであった。当時いた店では、客注品で報奨金がついていない売り上げスリップは抜かずに、そのまま渡していた。その関係で私が買った本も売り上げスリップを抜かずに、紙袋に入れていた。しかも、買ったといっても、ツケで買ったものだから、レシートがある訳じゃない。あるのは自分で書いた店の納品書で、しかも自分のものだから、書名など書かずに、金額だけ書いたものであった。
 今だったら、そんな疑いをかけられたら、それこそ大げんかになっているだろうけど、当時はまだうぶだったので、かなり困った。自分が新橋の本屋の店員であること、そしてこの本は自分の店で買ったこと。売り上げスリップがついているのは店の事情であることを説明して、なんとか疑いを晴らした。
 それ以来、本屋に行くときは、自分が読んでいる本は、たとえカバーがついていても、鞄に入れておくこと。また本屋の責任者になってからは、店の者には、どんな本でも売り上げスリップは抜くことを指示した。
 
 万引きを捕まえたこともある。これは以前のブログで書いた。万引きを捕まえてそのまま警察に引き渡したのだけれど、私も一緒に警察に行く羽目になった。はっきり言って、万引きは許せないけれど、人を犯罪者として引き渡すのもいい気分じゃない。最初は万引き犯を捕まえて警察に引き渡したということで、何か正義を全うした感じでいたのだけれど、万引き犯と一緒に警察に行くと、これで良かったのだろうかと思い始めた。何と言えばいいのかよくわからないが、この万引き犯の人生に何らかの汚点をつける現場に立ち会ったことの気分の悪さを感じたのである。(私が捕まえた万引き犯は初犯であった)
 幸いそれ以後万引き犯を捕まえることはなかったのだけれど、やっぱりやめて欲しいな。捕まえた方も気分が良くないのだから・・・。

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