2008年05月26日
メンタルケア協会編『人の話を「聴く」技術』
今度は精神対話士の話である。もちろん精神対話士という職業名を聞いたのは今回初めてである。「精神対話士という資格制度は、1993年慶應義塾大学医学部出身の医師たちが中心になって立ち上げられました。医療行為、精神療法を用いることなく、あくまでも対等な立場で、会話(対話)を通して人の心のケアを行うメンタルケアのスペシャリストです」とこの本のはじめに書かれている。まぁ、いろいろな職業があるもんである。
とにかくワンクール八十分徹底して、それこそ「身を差しだして」クライアント(ここでもクライアントである)の話を聞き、受け止め、対話することことだけである。そうすることで、人を苦しみから救いだし、心を癒すことをする。
この本はそうした精神対話士がクライアントとどうのように接し、対話をするかを語ることで、普段人との会話にもそれを応用し、人間関係がスムースに運ぶテクニックを披露している。
確かに異論があっても、説教したくても、それをせずに徹底して話を聞いてくれれば、話す相手は気分が良くはなるだろう。その上で口が滑るじゃないが、多くを語らせることによって、ことの本質が見えてくることも、言われればわからない訳じゃない。だけどそれはかなり難しいと思うし、少なくと私にはできない。たとえば外は雨が降っていても、相手が「今日はいい天気ですね」と言ったら、聞く相手は「そうですね。優しい雨が降っていますね」と言うべきだという。これは私にはできない。どこがいい天気じゃ!雨が降っているじゃないかと絶対に言ってしまう。まして気を利かせて優しい雨が降っていますねなんて言えるわけがない。だから私は精神対話士にはなれない。
しかしクライアントは自分の話をとことん聞いてくれると、安心し、信頼し、話していくうちに問題の本質に自分で気づき、心の平安を取り戻していく。
何かに苦しんで悩んでいる人は、そういう人がいてくれるだけでかなり気分が違うのだろう。だけど日常会話でこれを実践された場合、これは話を聞き出すテクニックであり、そこには当然何らかの下心が潜んでいるのではないかと思ってしまいそうである。だからおいおい何考えてんだ?と言ってしまいそうである。何か目的かあるんだろうと疑ってかかってしまいそうだ。
もともと私は人と話すのが苦手である。できれば相談なんてもってきて欲しくないさえ思っている。だって正直自分が生きるだけで精一杯なのだから、人の話を聞いてやる余裕など持ち合わせてなんかいない。だから、人と話す場合、親しい仲の人ならともかく、あまり関係の深くない人と話す場合、だいたい攻撃的である。どちらかといえば話のイニシアティブを取ろうとして、まずは自分の方から言いたいことが言えるチャンスがあれば、しゃべってしまう。だって言いまくった方が楽だもの。人の話を聞いていて、言いたいことや文句もあるのに、それが言えないなんて耐えられないな。とにかく何か一言言わないと気がすまないタイプなので余計である。ということは、会話上手というのではない。でも、少しは人の話を聞く余裕は必要だよなとは思う。特にこの本を読んでそう思った。できるかどうかわからないが、まずは聞きましょうという姿勢はこれから持つことにしたい。でもかなりストレスがたまりそう!
しかし話をするにしても、聞くにしても、やはり教養は必要なことはこれまでの三冊の本を読んで思った。それは自分の専門分野だけでなく、広い視野で物事を考えられるものが、話の内容を更に濃くするような気がする。臨床心理士にしても、精神対話士にしても技術としての内容だけでなく、広く知識を身につけないとやっていけない職業のようで、なかなか大変な職業のようだ。
以上三冊は私としては毛色の変わった本を読んでみた。実はこの三冊は息子が大学でレポート提出のために読むべき本であったようだ。息子はレポートを提出したのだろう。もう用なしの感じで放り出してあったこれらの本を見て何となく読んでみたくなったのだ。読んでみて専門的な本ではなく、入門書的要素の強い本なので、まずは手始めにという感じで指定された本なのだろう。まぁ息子が今どんなことを大学でやっているのか、その一端でも知れればなんて思って読んでみた。今度息子とこれらの本の話でもしてみたいと思っている。
評価
★★
書誌
書名:対話で心をケアするスペシャリスト“精神対話士”の人の話を「聴く」技術
著者:メンタルケア協会【編著】
ISBN:9784796654531 (4796654534)
出版社:宝島社 (2006-10-05出版)
版型:189p 19cm(B6)
販売価:1,500円(税込) (本体価:1,429円)
- by kmoto
- at 09:57
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