2008年07月24日

阿刀田高著『ギリシア神話を知っていますか』

2008_07_24_01.jpg


 続いて阿刀田さんのギリシア神話の本を読む。読んでいてギリシア神話の奥深さをひしひしと感じた。この本によるとギリシア神話は大きく分類すると次のようになるらしい。

1.オリンポスの神々の伝説
2.アルゴー丸遠征隊の伝説
3.英雄ヘラクレスの伝説
4.テーバイの伝説
5.トロイア戦争の伝説
 
 私がある程度親しみやすかったのは、やはり「トロイア戦争の伝説」であろう。だってそれまでその関係の阿刀田さんの本を読んできたのだから当然である。だからこの本でも「トロイア戦争の伝説」に出てきた神々の記述があれば、あああれだなと話の流れが読めて楽しかった。
 しかしトロイア戦争以外に出てくるギリシアの神々もたくさんいるわけで、話の内容は知らなくても名前や固有名詞は私たちの日常中でよく使われる言葉としてある。そのためそんな名前が出てくると、その由来はここから来ていたのかと納得する。阿刀田さんも「私はギリシア神話と聖書の二つを古典として持っているヨーロッパ文明の、奥行きの深さ、バラエティの華麗さを思わずにいられない。自国の文化を過小評価するつもりは私にはいささかもないけれど、民族の古典の中に寓意に富んだ人物、事件、思考を持っているという点では、やはり、彼の国の文化の中に一日の長を見ないわけにはいかない。私がギリシア神話に興味を抱く理由もそこにあるのだろう」と言う。確かに古典が、例えば言葉の由来や、絵画などのテーマとして使われているのも、それだけ普遍的な人間性がその古典の中にあるからだろう。だからそれを自分たちの文化として大切にしているような気がする。そんなことを考えると、一体日本はどうなっているんだと思わざるを得ない。自国の文化をあまりにも粗末に扱ってはいないだろうか?
 ただ残念なことはここにはたくさんの神様が出てくるものだから、なかなか頭の中に残らないことだ。だからこの後も阿刀田さんの書いたギリシア神話の本を読もうと思っている。

 さて、私は大神ゼウスの女好きが気にかかる。手当たり次第、美しい女性がいれば自分のものにしてしまい、子供を孕ませる。阿刀田さんによれば、「ギリシア神話の常識に従えば、神々の不貞は許されるべきものであり、その寵愛を受けることは、むしろ名誉に値することでもあった」らしいから、いい気なもんである。それでいてゼウスは妻であるヘラの眼をいつも気にしていて、浮気をしているところが面白い。ヘラがゼウスの浮気を怒るものだから、隠れて子供を産ませてしまったりするのである。このあたりはきわめて人間的で、キリスト教みたいに、神様がセックスして子供を作ったなんて言ってはまずいのというので、処女懐胎なんて言ってきたけれど、そんな不自然なことは一切言わないのがいい。
 ゼウスが浮気をして、自分の子供をたくさん作るにはそれなりの理由がある。それはギリシア神話そのものが、それ以前にあった土地土地の民話の神様を融合してできあがったものだから、神様がたくさん必要であったのだ。ゼウスを中心にしてまとめるには、どうしてもゼウス自ら子供を作って、それを以前にあった神様として振り分けた感じだそうだ。なるほどね。
 ところで、もう少しギリシア神話に詳しくなれば、絵などを見る目も変わるかななんて思っている。だってヨーロッパの絵画にはギリシア神話をテーマにした絵がかなりあるからだ。それを今まで、ただ美しい、きれいだということだけを基準に鑑賞していたけれど、そこに描かれたテーマを知ればもっと楽しめそうな気がするのである。


評価
★★★


書誌
書名:ギリシア神話を知っていますか
著者:阿刀田 高
ISBN:9784101255040 (4101255040)
出版社:新潮社 1984/06出版 新潮文庫
版型:241p 15cm(A6)
販売価:420円(税込) (本体価:400円)

trackbacks

trackbackURL:

comments

comment form

(どんなことがあっても、本が好き にはじめてコメントされる場合、不適切なコメントを防止するため、掲載前に管理者が内容を確認しています。適切なコメントと判断した場合コメントは直ちに表示されますので、再度コメントを投稿する必要はありません。)

comment form