2008年10月15日
阿刀田高著『続ものがたり風土記』
続いて続編を読む。この本は前回日本各地にある昔話、伝説、民話、物語などストーリーを訪ねる旅だと書いたが、それだけでなく、明治・大正・昭和の名作で、それら作家たちの生誕地や活躍の場所がそこにあれば、作品を含めてここで紹介している。この本自体文芸雑誌「小説すばる」が初出誌だからだろう。
それが結構面白い。作品のあらすじや、小説の舞台となった背景など詳しく語られ、思わず読みたくなるのである。私は本を探す場合、こうした本の中で紹介された本を読むことが多く、今回も何作か気になる作品があった。で、それをリストアップすると、正編も含め以下の通り。
1.松本清張著『万葉翡翠』角川文庫
2.松本清張著『秀頼走路』(所有済み)
3.南条範夫著『灯台鬼』(ゲット)
4.長尾宇迦著『幽霊記-小説・佐々木喜善』文藝春秋
5.安部公房著『榎本武揚』中公文庫
6.吉村昭著『熊嵐』新潮文庫
ただ、ここに記されて本はなかなか手に入らないようだ。新刊書店で探すとなると難しいかもしれない。手始めはブックオフで探してみようかと思っている。(南条範夫著『灯台鬼』は近所のブックオフでさっそく見つけた)
阿刀田さんはこの本の最後に、「小説にはストーリーとモチーフがある。モチーフとは、作家が読者に伝えたいメッセージの核心にあたるもの、読者の側から言えば『この小説、何が言いたいの?』と問うときのその“何か”に相当するものだ。
ストリーがボディーであるとすれば、モチーフは小説のマインドだ。体と心である。
風土はこのどちらとも関わっている。風土を見て、思い立つストーリーがある。風土に接してモチーフを獲得するケースもある。ある風土を舞台にしなければ成立しえないストーリーもあるし、風土と密接に結びついたモチーフもある。それぞれの関係は、あるときは深く、あるときは淡く、すこぶる複雑だ。作者の立場と、読む人の立場とで見えてくるものが異なったりもする。
私の<ものがたり風土記>(正続)は風土とストーリー、風土とモチーフ、それぞれの関わりを、現実の旅の中で捜してみよう、という試みであった」と書く。
確かに小説を読む場合、その作品が書かれた背景を知れば、さらに作品は面白くなるだろうし、その舞台に行けるならもっと小説を面白く読めるかもしれないなとも思う。しかしそんな読書はかなりむずかしいだろう。だからこの本のような小説の舞台を教えてくれる本はある意味貴重かもしれないと思った。
評価
★★
書誌
書名:続 ものがたり風土記
著者:阿刀田 高
ISBN:9784087745214
出版社:集英社 (2001/06/30 出版)
版型:337p / 19cm / B6判
販売価:1,890円 (税込)
- by kmoto
- at 09:52
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