2009年01月11日
アガサ・クリスティー著『スタイルズ荘の怪事件』
クリスティの作品は昔一冊ぐらい読んだと思う。このように作家の名前や作品は知っているけど実際読んだことがないというのは結構多いんじゃないかと思う。別に読書家を気取っている分けじゃないが、それではちょっと寂しい気がする。だからという分けじゃないが、まずはクリスティーの作品をいくつか読んでみようと昨年から思い、いくつか用意していた。特に名探偵ポアロの登場する作品は読んでみたいと思っていた。
この作品は初めてポアロが世に登場した作品らしい。
例のよってミステリーなので話の内容は詳しく書けないけれど、こういう古典的ミステリーも悪くない。それに古典的といっても、ちっとも古くさくないし、正統派ミステリーを読んだというのが読後の感想だ。
舞台はスタイルズ荘で、そこの女主人が完全密室部屋で毒殺されていることから始まる。この女主人は莫大な財産を持っており、一方ここに一緒に住んでいる女主人の再婚相手や息子たちはその財産を狙っている。つまりこの女主人を殺害した人物はこのスタイルズ荘に住んでいる人物たちに限られる。
そこにたまたま招待されたヘイスティングスは偶然ベルギーから亡命してきたポアロと再会する。ここでポアロの人物像が紹介される。
「ポアロは風変わりな小男だった。背丈は五フィート四インチそこそこだが、物腰は実に堂々としている。頭の形はまるで卵のようで、いつも小首をかしげている。口髭は軍人風にぴんとはねあがっていた。身だしなみは驚くほど潔癖で、埃ひとつついただけでも、銃弾を受けた以上に大騒ぎをしそうだった。いまは痛ましく足をひきずっているが、この風変わりでダンディーな小男は、かつてはベルギー警察でもっとも有名な人物だったのだ。刑事時代には抜群の勘のよさを発揮して、当時の難事件を次々と解決して名をあげたものだった」
NHKの海外ドラマではデビッド・スーシェなる俳優が演じていたのを見たことがある。
このポアロがスタイルズ荘の女主人を毒殺した犯人を捜すため「灰色の脳細胞」を駆使する。思わずこのフレーズを読んだとき、おおそうそうこれだった!とちょっと感動する。
ここで明かされる事実は一つ一つすべて犯人捜しのために公にされ、おそらく作者は特別に隠しごとはしていない。ただ事実がバラバラになって明らかにされるものだから、それをポアロが一つの環のしてつなぎ合わせたとき、初めて犯人が明らかになる仕組みだ。つまりオーソドックスなミステリー手法で、「おいおいそれはないだろう」という明かされていないトリックは一切ない。だから面白かった。
さらに興味深かったのはクリスティーがなぜミステリーを書くようになったのか、その経緯がクリスティーの孫で、現在クリスティー財団の理事長を務めておられるマーシュ・ブリチャード氏が最初に書かれている。
それによると、クリスティーが自分で作品を書くようになったのは、自分がインフルエンザに罹って、読む本がなくなってしまったしまったので、それなら自分で書いてみたらと母親に勧められて書いたのが作家としてのスタートだったと披露されている。最初はロマン小説だったらしいが、その後自分が薬局で働いた経験と悪や犯罪、人間の本性に興味があったので、この『スタイルズ荘の怪事件』が生まれたという。
しばらくはポアロの会話を楽しむために、何冊かクリスティーの作品を読んでみようと思っている。
評価
★★★
書誌
書名:スタイルズ荘の怪事件
著者:アガサ・クリスティー 矢沢 聖子【訳】
ISBN:9784151300011
出版社:早川書房 (2003/10/15 出版)ハヤカワ文庫―クリスティー文庫
版型:361p / 16cm
販売価:735円 (税込)
- by kmoto
- at 07:24
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