2009年02月07日

渋沢幸子著『イスタンブールから船に乗って』

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 やっと渋沢さん二冊目の文庫本を手に入れ、早速読み始める。ところでこの本の奥付を見てみると、初版が平成11年9月となっている。ということは初版からわずか10年足らずで、本は品切重版未定になるんだ。本の寿命って短いもんだなと思った。しかもそれは初版からの話だから、もし重版でもしていたら、さらに短いことになる。

 さて、今回渋沢さんは、黒海をトルコ側沿岸に沿って東へ東へと向かい、グルジア国境まで船、バス、汽車を使って旅をされる。いったいここはどんなところなのかよく知らないので、ただただ、書かれていることに感心する。そうなのだ。ここトルコは東からも、西からも文明が衝突し、興亡の激しい土地なのだ。だからさまざまな民族がここに集まっていることを知る。
 東に向かうほど何度かヒッタイトという古代の国の名前が出てくる。ヒッタイトとって何だっけ?とふと思う。だいぶ前に覚えた古代帝国の名だ。今回はネットに頼らず、ひたすら思い出してみようとする。そうだ!人類の歴史の中で、初めて鉄器を使用した民族だ!そうかヒッタイトもトルコにあったんだ!ほんとトルコという国は、いろいろな民族が国を興し、滅んでいった。歴史の渦みたいなところである。渋沢さんが訪れる遺跡は朽ち果て、ほとんど廃墟化していて、修復保存が進んでいないようである。でもそれはそれで悠久の時間を感じてしまう。

 それにしても、トルコ人ってどうしてこうも旅人に優しいのだろう。たとえば「仕事中に作業場に外国旅行者がのこのこ入っていっても、トルコでは『なにしに来た』『なに見てんだよ』などと言う人は絶対にいない。それどころか、『おすわり』『チャイを飲むかい』と言ってくれる」と書いてある。
 さらに「トルコを旅行していると、毎日のように『贈物ですよ』とか『あなたはお客さまですから』などと言われる」といって、渋沢さんは町の人にチャイやコーヒー、あるいは食事など何度もご馳走になっている。トルコの人どうしてこんなに心が広いのだろうか?と思ってしまう。そんな人の優しさが幾度も書かれるものだから、トルコっていい国なんだなと思ってしまう。心が安らぐ感じがする。
 もちろん政治のゆがみなどで、社会に暗い影を残している部分もある。たとえばロシアから来る、ナターシャ(売春婦)たちがホテル各所にいることなど、渋沢さんはかなりイライラしているけれど、それもトルコという国が近隣の諸国より経済的に裕福で、人にやさしい国だからから彼女たちはこの国に来るのではないだろうか。もちろん詳しいことは知らないけれど、ただ渋沢さんの本でトルコを旅をさせてもらった私としては、そんなふうに思った。


評価
★★★


書誌
書名:イスタンブールから船に乗って
著者:渋沢 幸子
ISBN:9784101458229
出版社:新潮社 (1999/09/01 出版)新潮文庫
版型:283p / 15cm / A6判
販売価:入手不可

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