2009年02月25日

勝間和代著『読書進化論』

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 読んでいて何か違うんだよなと思った。何が違うかと言えば、読書の仕方である。この本は私みたいに本を楽しむ読書をしている人のための本ではない。本を読むことで、自分の人生や仕事、あるいは生活に何らか役立てようとする人のための読書の方法を指南している。
 本を読む行為はとにかく時間と手間がかかる。けれども、いやだからこそ読書は「ウェブよりも、濃度が高く、時間の費用対効果がいいものだ」と著者は言う。ただ目的意識なしに読んでいてはダメだ。「読んだ本の成果は仕事や生活で活用しなければいけない」と言い切る。そういう目的意識を持っているかいないかで、読書の時間効率が違ってくると言うのだ。
 そのような読書をしていれば、本から戦略的なことをひと通り、すべて学ぶことができると言い、そういう「読書は決して受け身的なものではなく、人生の目標と指針を与え、私たちの日々を進化させてくれるすばらしい方法なのです。ネット全盛期の今こそ、ぜひ、本の役割をもう一度見直し、私たちの大事な時間をもう少し多く、読書に投資してください。そうすることで、読者の方々にとって、よりよい人生が待っているのだと私は確信しています」結論づけている。
 なるほど、時間や手間、お金がかかる読書という行為に「費用対効果」を求めるのかと思った次第だ。これはスタンスの違いだからとやかく言うつもりはないけれど、できればこんな本の読み方はしたくはないなと私は思う。私の本の読み方はこの著者からすればなんて無駄な本の読み方をしているんだと言われそうである。
 けれど基本読む本が違うのだから仕方がない。一方は生活に、ビジネスに役立つ本を書く人であり、そんな本を読む人を対象としている。私は本の内容を楽しむことに読書という喜びを見出している。その点が違うのである。だから著者が「本は全部を隅々まで、読む必要はないのです。ウェブを頭から全部読む人がいないのと同じように、本の全体像から、好きなところだけ拾い読みしていけばいいのです。ただし、大事なことは、その内容が私たちの考え方や行動にどれだけしっかりといい影響を与えられるかということだと思います」というのは、絶対にできない。とにかく読むことに重点を置いているから余計である。

 そんな著者は本の売り方にも提言している。現在の本の売り方にはプロモーションやプレイス、そして著者のマーケティングが欠けているという。特に本の著者がそうした行為をしないのはおかしいと言う。自分の名前をとにかく売ること。これが何より大切だという。なぜなら本は「読まないと品質がわからない」という問題点があるから、読者に自分の書いた本を買ってもらうにはとにかく名前を覚えてもらしかない。覚えてもらえば、「あの著者の本ね」といった感じで、おおよその本の内容が想像できるだろうし、その著者を知っているということは、必然的に内容を保証しているものだという。だから「著者の名前を、見せてナンボ、名前を連呼してナンボなのです」と言う。
 これは言えている。以前読んだ本の著者である程度気に入って読んだ経験があれば、新しい作品も、たとえそれがひどいものであっても、少なくても読んでみようかなという気持ちが起こる。だからこの点については本の販売には開拓の余地があると言う。著者はこうしたことを専門としているのだから、今本が売れないのは、こんな点にも問題があると言うのだろう。まぁ、自ら積極的にマーケティングをしてくれるなら、それはそれでいいことじゃないかと思う。

 あとおもしろかったのはアマゾンジャパンの人の言葉だ。アマゾンでは雨の日に比較的売り上げが伸びる傾向があるといい、時間帯としてはリアル書店が閉店する八時頃から売れ行きがバーッと上がるらしい。曜日については土日より比較的平日のほうが利用されているというのは、何となくわかるような気がする。雨の日に本屋さんに行くのは厳しいものがあるし、休日は本屋さんより、他におもしろいところに行くだろう。時間についても、家に帰って一段落してからネットをやるのがやはり午後八時過ぎだろう。雨の日の平日、八時過ぎがアマゾンのかき入れ時ということだ。


評価
★★


書誌
書名:読書進化論―人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか
著者:勝間 和代
ISBN:9784098250011
出版社:小学館 (2008/10/06 出版)小学館101新書
版型:254p / 18cm
販売価:777 円(税込)

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