2009年05月15日
小路幸也著『シー・ラブズ・ユー』
前作を読んだのは三年前ぐらいっだっただろうか?この本がシリーズになるなって思わなかったが、もう四作も出版されている。今回は第二作目で、次の三作も続いて読もうかと思っている。
前作はなんとなくいいなぁという程度の感想だったと思うが、今回は“ちょっといいじゃん”という感じである。案外私はこういうホームドラマ的小説は好きかも、なんて思ったのだ。読んでいてほのぼのとしてくる。特にここのところ堅苦しい本や、読んでいても面白くない本が続いたので、何か気持がリフレッシュできた感じだ。
大きな感動はないけれど、これはこれでいいと思った。まさしく昔あったテレビドラマの世界がここにある。近所づきあいの多様さ、大家族と、とにかく人が多いものだから、そこには様々なドラマがあって、事件がある。そしてそうした多くの人々が集まる家族にはやっぱり昔から連綿と続いてきた生活がほとんど変化せずに息づいているのがいい。時にはそれが古臭い部分があるけれど、かえって人々を集まらせるサムシングがあるんじゃないだろうか。
舞台は下町の三代続いた<東京バンドワゴン>という屋号の古本屋。そしてその店の隣にあるカフェは若い家族がやっている。その古本屋の三代目堀田勘一がひいおじいちゃんで昔どこでもいた頑固で情にもろい、わがままなオヤジ。いかにも下町の古本屋のオヤジといった感じで、いい味を出している。そしてその息子我南人。“永遠のロックシンガー”と言われる61歳で現役ロックシンガーが自由に振る舞っているのもいい。そしてその我南人の長女藍子さんと息子の紺。紺の奥さんである亜美さんと藍子さんが隣のカフェをきりもりしている。さらに我南人と大女優と呼ばれる池沢百合枝の間で生まれた青。青の奥さんのすずみさんが勘一の古本屋を手伝っている。藍子には中学生なったばかりの一人娘花陽。紺と亜美さんには小学生の研人と生まれたばかりのかんながいる。そして青とすずみさんにはかんなと同じ日に生まれた鈴花がいる。藍子さんはイギリス人画家マードックさんという旦那さんいる。さらに猫と犬が数匹いて、これらの人や犬猫が一つ屋根の下でがやがや毎日を過ごす。そこに常連客、勘一の幼なじみ、あるいは我南人の仕事の関係者、いつも行く小料理居酒屋の<はる>の若女将などが訪ねてきて、まぁとにかくやかましい。
そうしたやかましい家族のナレーション役をするのが、亡くなった勘一の奥さんサチさんで、あの世に行かずにこの家族の周りにいるという設定になっている。
もうこれだけ聞けば、昔あったテレビドラマだと思うでしょう!今みたいに洗練されたドラマじゃないことがわかると思う。そういうのを私は子供の頃見てきたから、懐かしくもあるのだ。だからこの本を読んでいて心が和む。三作目も楽しみだし、四作目はまだ買っていないけれど、今日仕事が終わったら書泉さんに買いに行こうと思っている。最近“書泉ブッタワー”で本を買っていないしね・・・?
評価
★★★
書誌
書名:シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン
著者:小路 幸也
ISBN:9784087753776
出版社:集英社 (2007/05/30 出版)
版型:277p / 19cm / B6判
販売価:1,575円(税込)
- by kmoto
- at 10:23
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