2009年06月07日
アガサ・クリスティー著『そして誰もいなくなった』
またクリスティーの本に戻る。もともとアガサ・クリスティーの本を読もうと思ったきっかけは、作者の名前は知っているけれど、その作品をほとんど読んだことがないという理由で、それじゃまずいだろうと思い、代表作だけでも読んでおこうと思ったのがきっかけである。それでクリスティーの本はこれで4冊目となり、あと1冊読んでみようと準備している。
で、今回の作品。
イギリスのインディアン島という孤島にさまざまな職業の10人の男女が招かれる。招待状を出したのはオーエンという人物。しかしこの人物は最後まで姿を現さない。そのうち島は嵐になり、この10人はここから抜け出すことができなくなる。
晩餐の時、謎の声がその10人の男女の過去に犯した罪を告発する。彼らの部屋には古い童謡が納まった額があった。
十人のインディアンの少年が食事に出かけた
一人がのどをつまらせて、九人になった
九人のインディアンの少年がおそくまで起きていた
一人が寝すごして、八人なった
八人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた
一人がそこに残って、七人なった
七人インディアンの少年が薪を割っていた
一人が自分を真っ二つ割って、六人なった
六人のインディアンの少年が蜂の巣をいたずらしていた
蜂が一人を刺して、五人なった
五人のインディアンの少年が法律に夢中になった
一人が大法院に入って、四人になった
四人のインディアンの少年が海に出かけた
一人が燻製のにしんにのまれ、三人なった
三人のインディアンの少年が動物園を歩いていた
大熊が一人を抱きしめ、二人になった
二人のインディアンの少年が日向に座った
一人が陽に焼かれて、一人なった
一人のインディアンの少年が後に残された
彼は首をくくり、後には誰もいなくなった
殺人はこの童話にあるような形でおこなわれた。食堂のテーブルには10個のインディアン人形があったが、一人殺されるたびに一個減っていくのであった。
島に残った男女はその数が減っていくと、目の前にいる人間が殺人者ではないかと疑心暗鬼になっていく。それが最後の二人となると二人のうちどちらかが殺人者ということになるが、残った一人も首をくくって死んでしまう。その後つるされたロープの下にあった台がきちんと片付けられていた。ということはこの島にはこの10人の男女以外に誰かいたことになるのか。しかし残された男女はこの孤島をくまなく捜索していて、彼ら以外誰もいなかったのである。
みんなが死んでしまうと、誰が犯人なのか?最後に首をくくったヴェラ・クレイソーンも過去に人を殺している。彼女がこの島でおこなわれた殺人の犯人ではない。彼女は明らかに錯乱し、自殺したのだ。
この話は最後の「漁船『エマ・ジェーン』号の船長からロンドン警視庁に送られた告白書」という章で、真犯人が明かされる。犯人は自分がおこなった完全犯罪を自慢したくて事件の真相書いた文章をボトルに入れ、海に流した。それを拾った漁師によって、この事件の真相が明らかにされるという仕組みになっている。
思わずう~ん、やられたと思った。しかしよく考えてみれば、10人の男女の過去に犯した罪を簡単に明らかにすることができる人物は誰であったかを考えれば、必然的に犯人はわかるはずであった。
Wikipediaによると、「原書名はTen Little Niggers、直訳すると「10人の小さな黒んぼ」という意味で、マザー・グースの1曲Ten Little Nigger Boysから採られている。nigger(ニガー)は差別的なニュアンスの言葉であり、アメリカで刊行されたときはこれを考慮して、Ten Little Indians(10人の小さなインディアン)となり、後にAnd Then There Were None(そして誰もいなくなった)となった」とある。
なるほどこれがマザーグースを使ったミステリーなのかと、初めて知る。
評価
★★★
書誌
書名:そして誰もいなくなった
著者:アガサ・クリスティー 清水 俊二【訳】
ISBN:9784151300806
出版社:早川書房 (2003/10/15 出版)ハヤカワ文庫―クリスティー文庫
版型:367p / 16cm
販売価:714円(税込)
- by kmoto
- at 06:43
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