2010年03月13日

マイ・シュ-ヴァル ペ-ル・ヴァ-ル-著『ロゼアンナ』

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 私が持っている「マルティン・ベックシリーズ」は二代目である。というのも最初このシリーズを読んで、その面白さを堪能した後、もう読み返すことはないだろうと思い、古本屋さんに売ってしまったのだ。ところがいつかふと思い出し、また読んでみたいなと思い始めた。こうなると是が非でも読みたくなり、またこのシリーズを買い求めたのだ。だから今手元にある文庫本5冊、単行本5冊は二代目になるのだ。そして同じ本なのだが、初版本と表紙違いの本を2冊古本屋さんで見かけたのでそれを買い求めている。
 今回このシリーズを読み直すと、これで三度目となる。今回は新たに買い求めた初版本と表紙違いの本を2冊と、それ以外に持っている二代目の本を読むこととする。

 さてこの「マルティン・ベックシリーズ」はマイ・シュ-ヴァルと妻のペ-ル・ヴァ-ル-の共作で、スウェーデンの名作警察小説である。よくエド・マクベインの「87 分署シリーズ」と比較される。もしマイ・シュ-ヴァルが死亡していなければ、もっとシリーズは続いたものと思われる。
 結局夫のペール・ヴァールーが1975年、まだ48歳の若さでこの世を去ったため、シリーズは10作となった。私はあくまでも個人的に思うのだが、結局10作にこのシリーズがとどまったことが、かえってこのシリーズをいいものとしたんじゃないかと思っている。「87 分署シリーズ」のようにだらだら続いちゃうと、どこか間延びした感じになってしまうのではないかと思うのだ。作品は以下の通り。

 『ロゼアンナ』(1965)
 『蒸発した男』(1966)
 『バルコニーの男』(1967)
 『笑う警官』(1968)
 『消えた消防車』(1969)
 『サボイ・ホテルの殺人』(1970)
 『唾棄すべき男』(1971)
 『密室』(1972)
 『警官殺し』(1974)
 『テロリスト』(1975)

 日本ではどういうわけか、第一作の『ロゼアンナ』から出版されず、『バルコニーの男』から出版され、『笑う警官』が第二作として出版されてる。
 そして普通親本として単行本があっていいのだが、これもどういうわけか『ロゼアンナ』から『消えた消防車』は文庫本しか見つからない。もしかしたらこのシリーズはここまでは文庫本オリジナルなのかもしれない。主人公はマルティン・ベック警視である。
 このシリーズが面白いのは、登場人物のキャラクターが警察という職場でも、ごく普通の冗談や会話をするところにある。だからかもしれないが、シリーズ全体で登場人物が楽しいし、警察というきな臭い職場であっても、普通に笑えるのである。そういうことだから人物たちを愛せるのである。私はマルティン・ベックの同僚のレンナルト・コルベリと、ここでは出てこないが、グンヴァルト・ラーソンが大好きである。
 さて『ロゼアンナ』の内容である。遊覧船が行き交うところで、浚渫船が女性の死体を引き上げた。司法解剖の結果、性的暴行を受けた後に絞殺されたことは判明したが被害者の身元は不明のまま捜査は行き詰まり、本庁の応援を仰いだ。ストックホルムからマルティン・ベックとその部下たちが集まり、捜査を続けるが、これといって手がかりがないまま、またしても捜査は行き詰まる。
 そん中アメリカから失踪者の照会があり、殺された女性がロゼアンナ・マッグロウであることが判明する。ロゼアンナの名前は遊覧船の名簿にもあり、どうやら、殺された後遊覧船から投げ落とされたと分かってくるが、それではいったい誰がロゼアンナを殺害したのか皆目判明しない。
 マルティン・ベックは遊覧船にロゼアンナが乗っていたことで、その他の乗客が観光目的で写真やビデオを撮っていたはずだと考える。その船に乗っていて、写真やビデオを取っていた乗客からそれらを取り寄せ、ロゼアンナに近づく人間を捜していく。そうしているうちに一人の不審者が浮かび上がったが、しかし事情聴取をしても、しらを通され、決め手に欠けた。
 そこでマルティン・ベックはその疑わしい人物に婦警を使っておとり捜査をし、罠をかけるのである。男はその罠にはまり、事件は解決する。
 あらすじをこう書いてしまうと、“なんだ”と思ってしまうが、捜査が行き詰まり、次の捜査方法を悩んで考えつき、さらにその先も同様にマルティン・ベックがどう捜査を進めていけばいいのか、苦しみながら考えるあたりは臨場感が感じれるのである。しかも特別変わった手法を取っているわけではなく、オーソドックスな捜査方法だ。だから犯人逮捕までの間がリアルに感じられた。


評価
★★★★


書誌
書名:ロゼアンナ
著者:マイ・シュ-ヴァル ペ-ル・ヴァ-ル-
ISBN:
出版社:角川書店 (1993/11 出版)角川文庫
版型:375p / 15cm / 文庫判
販売価:入手不可

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