2010年04月07日
マイ・シュ-ヴァル ペ-ル・ヴァ-ル-著『警官殺し』
ついにこれでこのシリーズ9作目となった。
話の内容は、独り暮らしをしていた女、シグブリート・モードが行方不明になった。失踪したのか、殺されたのか状況は分からなかったが、狭い町である。この町で彼女の行方を捜していた駐在所長のヘルゴット・オーライはシグブリート・モードは殺されたものとにらんでいた。そしてシグブリート・モードの近所に住んでいたのがあのロゼアンナを殺した犯人、フォルケ・ベンクトソンであった。彼は出所後ここで暮らしていた。当然彼はシグブリート・モードが行方不明に関わりがあるものと見られ、捜査に協力したマルティン・ベックとコルベリは、上層部の意向で彼を逮捕し、尋問を始めるが、確たる証拠が出てこない。シグブリート・モードと一緒にいたところを目撃されているが、その後が分からない。確かに彼は今でも女性に対して潔癖症であり、男を誘惑する女を敵と見なしているところは昔と変わらない。
そして近所の森をハイキングしていたものが、シグブリート・モードの手が地面から出ているところを発見する。彼女は絞め殺され埋められていたのであった。土の中にはボロきれも発見され、ニッケルの削りくずがついていたことが後で判明する。フォルケ・ベンクトソンは疑われ続けるが、相手をするベックやコルベリは今ひとつ確信が持てずにいた。
ベックとコルベリは、シグブリート・モードの家を捜索し、そこでラブレターらしきものを見つける。そのラブレターには「クラーク」という署名が入っていた。どうやらシグブリート・モードはクラークと付き合っていたようであった。
そん中マルメ警察管区内で無灯火の不審車両を停止させたパトカー警官が射殺されるという事件が発生した。警官を撃った犯人の一人はその場で射殺されたが、一人はその車で逃走した。逃走したキャスパーは他の車を盗み乗り換え、捜査網を突破した。その車を盗まれた男がシグブリート・モードを絞殺したクラーク・エヴァート・スンドストレームであった。それを見つけたのはコルベリであった。実はコルベリはそれまでシグブリート・モード殺しの捜査をベックと捜査をしていたのだが、警官の射殺事件が起こった時点でこちらの捜査にかり出されたのであった。
この時コルベリはもう刑事の仕事に見切りをつけていた。本来市民の生活を守るための仕事であった警察が、逆に人を抑圧する機関にに変質してしまったことを感じており、そのことに深く恥じるようになってしまったのだ。こんな状態ではもう警察は勤められないと判断し、退職願を提出した。
この話はそれまで捜査が行き詰まってしまっても、まったく別のところで偶然の出来事や発見がその事件の糸を結びつけるところがある。たまたま偶然が起こったことで話がつながるのだ。正直これってあり?と思わなくもない。もっともこの傾向はこのシリーズの特色となっているところがあるけれど、どこか不自然な気がする。もしこれらが起こらなければ事件は完全に手詰まりとなってしまう。まぁ、世の中ってそういうもんだよ、と言ってしまえばそれまでだが・・・。
それとこの物語は昔の事件の犯人や場所を登場させるところに特色がある。たとえばシグブリート・モード殺しの犯人ではないかとして、ロゼアンナを殺した犯人、フォルケ・ベンクトソン出したり、『蒸発した男』の犯人も刑期を終えて、名前を変え、新聞記者として再度登場させたりする。「マルティン・ベックは、奇妙な運命のめぐり合わせにつくづく感じ入っていた-過去に扱った二つの難事件の犯人たちと自分たち二人が、突然、それも忘れた頃になって、アンダスレーヴのような辺鄙な村で再び顔を合わせようとは」と書いているが、そういう意味では懐かしくもあるのだが、ただそれを持って話を読ませる手法は少々疑問を感じてしまう。
もともとこのシリーズは1年に1作書かれてきたので、このシリーズで9年目になるわけで、その間の8年間の重みを感じさせようとしているのであろうか? 今回懐かしさもあってこのシリーズを読み始めたのだが、いろいろ考えることがあった。そのことは後1冊読んで、このシリーズが完結するので、そこで思っていることを書こうと思う。そうそう、サボイホテルのバーも登場したっけ!
あと『唾棄すべき男』で私はいつもドジを踏むパトロール警官で、グンヴァルト・ラーソンが「またお前等か!」と呆れる警官二人が射殺される、と書いたが、射殺されたのは一人だけで、もう一人は膝を打ち抜かれたことを知ったので、訂正しておく。生き残った彼は新しパートナーとまたパトロール警官をやるが、やっぱりドジを踏み、グンヴァルト・ラーソンに怒鳴りつけられる。
評価
★★★
書誌
書名:警官殺し
著者:マイ・シュ-ヴァル ペ-ル・ヴァ-ル-
ISBN:9784047910843
出版社:角川書店 (1978/04 出版)海外ベストセラ-・シリ-ズ
版型:363p / 20cm / B6判
販売価:入手不可
- by kmoto
- at 18:29
comments