
ギリシア神話の仕上げとしてこの本を読む。今回もこの本を読んで知ったギリシア神話の知識を残したいので、自分備忘録として書くことにする。そしてヨーロッパ絵画や彫刻にギリシア神話をテーマにした作品がたくさんあるようで、この本を元にして、ネットで転がっているその絵や彫刻探して、一緒にしてみた。そうすれば関連づけて忘れないんじゃないかなと思ったのである。
ギリシア神話といえばやっぱりゼウスであろう。ゼウスの生い立ちは以前にも書いたけれど、重複するがやはり書いておく。

アニバール・カラッチ「ユノ(ヘラ)とジュピター(ゼウス)」
ゼウスの父クロノスは姉であるレイアを妻にしていたが、「おまえの子はおまえを滅ぼす」という予言を受けたので、自分の子であるヘスティア、デメテル、ヘラ、ハデス、ポセイドンを飲み込んでしまう。レイアは今度生まれた子を山の妖精に預けた。それがゼウスである。ゼウスは無事に成長し、父親に吐剤を飲まし、彼らを助け出す。その結果ゼウスが地上を含む天界、ポセイドンは海を、ハデスが冥界を統治することになった。ゼウスは姉のヘラを妻にし、ヘラとの間に軍神アレス、鍛冶の神ヘパイトスが生まれる。またゼウスが激しい頭痛で苦しんで「頼む。頭をかち割ってくれ」といったとき、頭を割ったのはヘパイトスの斧であった。そこから生まれたのが知恵と勝利の女神で、ギリシア最大の都市アテネの守護神であるアテネである。
ゼウスの姉ヘスティアは竈の女神。またゼウスの祖父ウラノスの精子から生まれたのがアフロディテであり、これは美の女神。アフロディテはヘパイトスと交わってエロスを生んだ。エロス、英語名でキューピッドで、この坊やが放つ矢で胸を射抜かれると恋心に歯止めがきかなくなる。

ボティチェリ「ビーナスの誕生」
ハデスの妻はペルセポで、母は豊作の女神デメテルで、ゼウスの計らいを得て、ハデスが略奪してきた。デメテルは一人娘を奪われた悲しみのあまり、自分の仕事をおざなりにしてしまい、お陰で地上の大地の作物は枯れ果て飢饉が起こり始める。こうなるとゼウスも困惑し、ハデスにかけあいに行き、一年の三分の二は里帰りしてよくなり、三分の一は冥界で過ごすことになった。ペルセポが戻って来たときは母のデメテルは歓喜に浸り、去った後は悲しみに沈む。地上に作物の実る季節と、実のならい季節がこのためである。

ジャン・ロレンツオ・ベルニーニ「ペルセポネの略奪」
ゼウスのアバンチュールをつづる。
ゼウスは「いい女、いないかな」と物色していたとき、レトという美女を口説き落とす。レトは懐妊したがヘラの怒りを買い、何人もレトのために子どもを生む土地を与えてはならないとお触れを出した。レトは困り、それを憐れんだポセイドンがレトをエーゲ海の浮島ディロスに誘った。ここは浮島なので“土地”はない。だからヘラの命令に背かない。レトはここで、狩猟と豊饒の女神アルテミスと芸術と医術の神アポロン産み落とす。
そのアポロンのエピソードとしてはダプネとの恋がある。
ある時アポロンはエロスに出会い、エロスの弓をからかった。エロスは二本の矢を放った。金の矢はアポロンの胸に、鉛の矢はダプネの胸に刺さる。金の矢で射られると恋の虜となる。逆に鉛の矢で射られると相手が嫌いになる。アポロンはダプネに激しい恋情を抱くが、ダプネ逃げ出す。ダプネは父親に「たとえどんな姿に変えても、いつまでも清らかな体でいたい」という願いを聞いた。ダプネの腕は指先から枝に変わり葉に変わり、一本木に化した。ダプネは月桂樹になった。アポロンは三日三晩泣き続け、月桂樹の枝を切って、輪を作って頭に飾った。これがオリンピックの勝者の頭を飾る月桂樹の由来である。

ジャン・ロレンツオ・ベルニーニ「アポロ と ダフネ」
さらにゼウスは女神マイアと交わってヘルメスが生まれる。ヘルメスはゼウスの秘書的存在であり、商業の神であり、泥棒の守護神。
ゼウスのアバンチュールはさらに続き、フェニキアの王女エウロペに魅せられ、ゼウスは美しい雄牛に姿を変えてエウロペに近づき、クレタ島まで連れ込んで交わる。生まれた子がクレタのミノス王である。ちなみにエウロペは“ヨーロッパ”の語源。

ティツィアーノ「エウロペの略奪」
そのミノス王ついては、王位継承のときポセイドンに「私を王位につけてくれたら、立派な雄牛を生け贄に捧げよう」と約束する。しかし自分が王位についてしまうと立派な雄牛あげるのが惜しくなり、惨めな牛を捧げた。当然ポセイドンは怒り、ミノス王の王妃パシパエの心狂わせ、立派な雄牛に恋情を抱くようにしてしまう。王妃は雄牛と交わり、頭が牛、体が人間の男の半人半牛の子を産む。すなわちミノタウロスである。ミノス王は建築家のダイダロスに複雑な迷路を持つ迷宮ラビュリントスを造らせ、ミノタウロスを閉じこめる。ミノタウロスはここで成長し人間を餌とする。
折しもクレタとアテネの間で戦争があり、アテネが負け、講和の条件として、毎年ミノタウロスの餌として七人の青年と七人娘差し出すことになった。アテネもこのままではたまらない。アテネの王子テセウスは自らを人身御供に加えてくれるよう頼み込む。クレタに送り込まれたテセウスはその日のうちにミノス王の王女アリアドネの心つかむ。アリアドネはダイダロスに迷宮の出方を教わるが、ダイダロスはその設計図を焼いてしまったので、わからない。けれど、糸玉の一端を出入口に結んでおいてそれをたぐっていけばいいと教わる。
何とかミノタウロスを退治して、テセウスはアリアドネとクレタ島から逃げる。ミノス王はアリアドネが手助けしたことを怒ったが、アリアドネに知恵を与えたとして、ダイダロスとその息子イカロスを迷宮に閉じこめた。この迷宮から脱出するには鳥のように空を飛ぶのがいいと、二台の飛行機を造って脱出したが、イカロスはダイダロスの注意も聞かず、どんどん高く上っていき、太陽に近づいてしまう。そのため接着剤として使っていた蝋が溶けてしまい、イカロスは墜落死する。ダイダロスの方は何とかシチリアに逃れたという。
次にゼウスはアルゴス王の一人娘ダナエに近づく。ダナエは「王の子孫が王を滅ぼします」という神託により、男が近づかないように閉じこめられていた。ある日黄金の雨に化けたゼウスが近づき、「なんてきれいな雨」とダナエが窓を開け、さっさと交わる。生まれた子がギリシア神話屈指の英雄ペルセウスである。
さらにさらに、スパルタの王妃レダが白鳥の集まる泉で沐浴を楽しんでいるところへ、大きな白鳥に化けたゼウスが近づき、王妃と交わる。王妃は卵を産み、その一つから、ギリシア神話一の美女ヘレネが生まれる。彼女の存在はトロイア戦争の原因ともなる。

ルーベンス『パリスの審判』
その他、ヘラクレスとプロメテウスやパンドラのことも書いておく。
ゼウスとレダの子であるペルセウスの息子に、エレクトリュオンがいて、そのエレクトリュオンの娘アルクメネがいた。アルクメネはアムビトリュオンと婚約をしていたがゼウスはそのアムビトリュオンに化けて、閨房に入る。それで生まれたのがあのヘラクレスである。
プロメテウスとパンドラのことは以下の通り。
ゼウスが人間界より火を隠すが、プロメテウスは再び神々の元から火を盗んで人間たちに与え、その利用方法教える。当然ゼウスはプロメテウスを怒る。ところがプロメテウスは「いいんですか、私はあなたの秘密を知っているんですから」と逆に脅しにかかる。するとゼウスは泥を練ってパンドラを造りプロメテウスのところへ放つ。彼女は神々からすべての贈り物を委ねられた。パンドラの“パン”はすべて、“ドラ”は贈り物という意味だそうだ。
パンドラがプロメテウスを訪ねてきたときは留守にしており、弟のエビメテウスという弟がいた。エビメテウスはパンドラが気に入り妻とする。エビメテウスはパンドラが預かってきた贈り物である壺が気にかかる。パンドラが開けてみる?と言うと、疾病、戦争、貧困、嫉妬、飢餓、涜神、残虐、好色といったありとあらゆる悪が黒い煙となって飛び散った。慌てたパンドラは蓋を急いで閉めたが、時既に遅く、壺の中に一つだけ残っていた。それは“希望”であった。このため人間たちはどんな悪に苛まれても、希望だけは持てるようになっている。
評価
★★★
書誌
書名:私のギリシャ神話
著者:阿刀田 高
ISBN:9784140804902 (4140804904)
出版社:日本放送出版協会 (2000-01-25出版)
版型:253p 19cm(B6)
販売価:入手不可。集英社文庫であり