2008年02月08日

再び売上スリップにつて

 売上スリップについて、そのままにして万引きと間違えられたことはもう一つのブログに書いた。またこの売上スリップのことを書きたい。妙に売上スリップにこだわるじゃないかと言われそうだけど、別にこだわっている訳じゃない。ただ懐かしくもあり、おかしくもあるから書きたいだけなのだ。
 この売上スリップの構造は、片割れが補充注文書になっており、もう一方が報奨金になっている。(もちろんすべてそうだというわけじゃなく、報奨金がついていないものも数多くある)
 つまりお客さんがレジに本を持ってきたら、店員はまずこの売上スリップを抜く。書店のカウンターには必ずこの置き場所がある。で、ある程度一杯になると、それぞれ切り離し、まずは補充注文書から売れた本の補充をする。お店のストッカーに在庫してあるものがあれば、そこから引っ張り出し、なければ、それを問屋の注文に回す。
 時にはお客さんが持ってきた本に売上スリップが外れてしまってないものもある。その場合その後補充が出来なくなり、欠本のまま機会損失につながるから、必ずその本の書名などを書いておかないといけない。今はポスレジやVANもあるから、売れればそのまま問屋に注文にすぐ回せるから、それほど神経質にならなくてもいいのかもしれないけれど、私が小さな書店員の時はそうしていた。いや今でも中小の本屋のおやじさんはスリップの注文書を束にして問屋をかけずり回っていることだろうと思う。
 スリップの片割れが報奨金になっている。文庫だと多分一枚一円だったと思う。これを百枚数えて一組にして、出版社送る。そうすると郵便為替で報奨金が届く。今はやっているのかどうか知らないけれど、新潮社は、文庫の売上上位店を海外旅行に招いたりする。当社も景気のいいときなどは招待された。私はそれで香港へ行った。
 またたとえ報奨金がついていなくとも、その出版社の売上スリップをまとめて、出版社に送る。それは自分の所ではおたくの出版物をこれだけ売りましたよと出版社にアピールすることで、少しでも新刊の配本や注文をよくしてもらおうという主旨からそうする。中小書店のむなしい行為なのである。
 しかしこの売上スリップの管理が結構大変なのだ。ただでさえ中小書店のおやじさんは店に立ったり、注文書を問屋に探し回ったり、あるいは本を配達したり、時間がない。必然的に休みを利用して、せっせと売上スリップを振り分け、まとめている。まぁ、まとめるだけ能がない。スリップをまとめると、自分の所の売れ行き動向も把握できる。それを使って月刊ベストなど作ったりする。
 ということで、これをやり出すと結構な時間を要することになる。昔お店の責任者を負かされていた頃は、未整理の売上スリップを家に持ち帰り、部屋中広げてまとめていたことをふと思い出した。当時は何をするにしてもすべて手作業の時代だったんだなと改めて思ってしまう。でも、手作業で苦労していると、嫌が上でも本の知識が身につき、それが頭に焼き付いて、いっぱしの書店員になっていたと思う。今みたいに何を尋ねても、ちょっと待ってくださいねといいつつ、パソコンで検索するのとは訳が違う。これだとパソコンが操作できて本が好きな奴なら簡単に書店員になっちゃう。コンビニの店員となんら変わらない。そんなもんじゃないだろうと声を荒げて言いたいのだけれど、時代がそうしちゃっているのだからどうしようもない。たぶんどこの業界でも似たような現象は起こっているのではないか?スペシャリストは養成するには時間とお金がかかる。そして彼らが一人前になったらなったで、今度は彼らを雇い続けるにはコストがかかる。だったらスペシャリストはいらない。将棋の駒みたいな奴で結構ということになる。後はコンピュータとマニュアルがあれば何とかお店を維持できるシステムを構築すればいいだけなのだ。

 話がずれた。そんなことを書くつもりではなかった。売上スリップの件である。
 ところでアマゾンで本を注文すると、売上スリップがついたまま届く。アマゾンはこの売り上げスリップをそのまま読者に渡しちゃうのだから、報奨金の部分は放棄したことになるのだろう。でも考えてみると、一枚一円を数えて、まとめる手間を考えれば、報奨金よりコストの方がかかるのは必然的だ。だったらやらない方がましなのはわかるような気がする。なに、一枚一円、けっ!といったところだろう。
 注文だって間違いなくコンピュータ管理しているはずだから、入庫と在庫はリアルタイム把握出来ているはずだ。発注点を決めておけば勝手に注文してくれることだろう。
 アマゾンにとって文庫の売上げスリップはゴミでしかなく、抜き出すにも手間がかかるし、抜きだせばどこかに捨てなきゃならんのだから、それならそのまま読者に渡してしまえ!きっと読者はしおりとして使うんじゃないのというぐらいの扱いなのだろう。もちろん出版社にゴマをする必要もない。
 ただたとえば限定出版や高額商品につく報奨金の額はちょっと馬鹿に出来ないような気がするので、このあたりはどうなっているのか知りたいところだ。フランス書院のエロ文庫など一枚十円だけど、これまとまると案外馬鹿に出来ないような気もするが、考えてみればアマゾンでエロ文庫を注文する奴はそういないかなんて思い直す。

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