2009年12月20日

古本とGODIVA

 昨日を大学時代の友人と忘年会をする。お茶の水でやるということだったので、多少早めに出かけていって、神田の古本屋街を歩く。これといって欲しいとか、探している本があるわけじゃないが、ブラブラと歩けば、なんか見つかるかもしれない程度である。
 三省堂本店の横の狭いビルの4階に「三省堂古書館」というのが出来ていた。詳しいことはわからなかったが、なんか全国の古本屋さんが商品を出していて、それを三省堂が取り仕切っているみたいだ。面白そうなので入ってみた。なかなか面白い品揃えで珍しい本もあったが、相対的に値段が高いような気がした。たぶん三省堂が中間マージンを乗せている分、古本の値段が高くなっているんじゃないかとうがった見方をしながら、本を見ていた。
 その上に神保町古書モールというのがある。ここも初めて入るのだが、ものすごい古本の量だ。それも雑然と並べられていて、ここから本を探すのは大変なことだと思いつつ、時間があるので順番に棚を見ていった。
 それにしてもたくさんの本がある。いろいろな作家の本があり、世の中には今までたくさんの本が出版され、消えていったんだなと思わされる。中にはすばらしい作品もあるのだろうけど、いつの間にか時間の風化に耐えられなくなり、消えていったといった感じだ。
 でも思うのだ。こうしたたくさんの文化として本があるけれど、人が一生の間にその作品たちにどれだけふれることが出来るのだろうか。その数の限られていることを思うと、出来れば少しで多くの作品に出会いたいものだと思う。
 私はこうして古本屋さんを歩くことが好きなのは、埋もれてしまった作品を読むことは出来ないけれど、せめて形だけでも見ることが出来る楽しみがあるからなのだ。結構面白いのだ。へぇ~、こんな作品があったのかと実物を手に取るだけでも楽しい。そして値段を見てすぐ棚に戻しちゃうんだけど。
 このあたりはネットの古本屋さんでは味わえないものである。確かにネットの古本本屋さんは便利であることは間違いなけれど、感覚として、手触りとして、買わなければ味わえない弱みがある。古本屋さんはそれがある。だから好きなのだ。

 私ががむしゃらに本を読み始めたのは高校時代からだったけれど、もうその時から読みたいなと思う本が手に入らないでいた。最初はもう流通していないんだから、仕方がないと諦めていた。大学時代から古本屋さんに足を向けるようになってからは、それまで読みたいと思って諦めていた本がザクザク手に入ったものだから、面白くて仕方がなかった。そして何度足を運んでも見つからない本はあるもので、偶然それを見つけたときは、躍り上がるほど嬉しかった。
 最初は探している本がたくさんあったから、当然古本屋さんでも多く見つかったのだけれど、そのうち数が絞られて来ると、見つかる可能性はぐんと低くなっていく。そうこうしているうちに諦めちゃったのだ。
 今はたまたま今回のように近所に行く予定があって、時間的余裕があれば、そこへ行くが、わざわざそのためだけに古本屋さんを歩こうなんてなかなか思えなくなってきている。歩いて本が見つかればいいけれど、見つからない可能性の方が圧倒的に高いのだから余計である。
 たぶんこれからも私は古本屋さんを歩くことは歩くだろうけど、その数は減っていくに違いない。手間と時間をかけることは何でも大切だけれど、一方でもっと便利な方法、つまりネットがあるじゃんと思えば、どうしたってそっちに気が向いてしまう。仕方がないのだ。
 昨日の収穫は遠藤周作さんの昔の紀行文一冊である。この本昔読んでいるが、今私の本棚にはない。きっと昔本を処分するとき売り飛ばしちゃったんだろう。でも、遠藤さんの本を思い出すとき、必ずこの本が私の頭の中に浮かぶ本だ。奥付を見ると初版で昭和47年に発行されている。もう37年前である。そのわりにはきれいな状態である。当時値段は680円だったが、古本では800円。まぁいいところであろう。私は経験がないが、たぶん昔の恋人に会った感じがこんな感じかなと思った。今日はこの一冊だけで神田の古本屋街を歩いた甲斐があった。

 さて、大学の友人たちとの忘年会である。いつものメンバーなのだが、やはり気が合う分、話していて楽しい。時間が経つのも忘れるほど話に夢中になる。場所を変えて、10時半頃に分かれる。
 家に帰ったのが、11時過ぎ。友人の一人からもらったGODIVAの小さな小さな箱入りのチョコレートをかみさんに渡す。

 「また○○さん?」

 「そう」

 「なんかいつももらいっぱなしで悪いんじゃないの?今度はこっちも何かしなければいけないんじゃないの?」

 「いいの。やつはやりたくて仕方がないからやっているだけで、こっちが欲しいって言っているんじゃないんだから。それにいい歳こいてプレゼントのやりっこなんて馬鹿馬鹿しいし、面倒だ。本当はやめて欲しいくらいだ。まぁ、今回は食べられるだけでもましじゃん。つまらん石けんよりよっぽどいい。出来ればGODIVAオリジナルのクマのぬいぐるみついたやつがいいと言ってやったくらいだ。それにGODIVAのチョコレートは高いだけで、俺はドンキーで安売りしている大袋入のキットカットの方がどっちかといえば好きだね。」

 と、友人の好意をそんな感じであしらう。幸いやつは最新機器?といえばFaxしか持っていない人間なので、パソコンも携帯も持っていない。従ってこれを読むことはあるまい。

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